第1話

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「目覚めた?」 近くから優しげな声がして私は起き上がり、声のする方を見た。 「何か飲みたい物はある?」 優しげな中年女性がそこにいた。 「大丈夫、です。あの、ここは?」 「海沿いにある民宿と言ったところかな。本当、良かった。琉希君のおかげね」 「琉希くん?」 聞き覚えのない名前だ。 「あなたのお友達よりもすぐに助けに行ったのよ。近所の子なんだけどね。ちょうどうちのチビ達と遊びに来ていたの」 「そう、なんですか」 「人工呼吸してなかったらあなたはどうなっていたか・・・」 えっ? 人工呼吸!? 「そ、その彼が・・・私に?」 「ええ。そうだけど?」 や、やっぱり夢じゃなかったんだ。 人工呼吸・・・ 「あの、皆は?」 「私に任せて海に戻ったわ。あら、また戻るつもり?」 「い、いえ!その、彼にお礼がしたくて」 「なら、地図を渡すわ」 「え?」 「うちのチビ達と遊んでいたんだけど、家に戻ったそうなの。ここから遠くないし、まだ家にいると思うわ。あの子、あまり出かけない子だから」 「あの、色々とありがとうございます」 「いいのよ。そうそう、高城さんってお家の子よ。今はあの子しかいないと思うから」 「あ、ありがとうございます。お礼は後ほど・・・」 「良いのよ。助かって本当良かった。感謝すべきなのは私より琉希くんよ」 「は、はい!」 私はおばさんにお礼をたくさん言って地図を貰うと、民宿を出た。 このカッコじゃ失礼だよね? 私は更衣室で先に今日着てきたワンピースに着替えた。 確か、高城さんとこの琉希くんだっけ? 私は地図を参考にしながら家を探す。 彼にお礼言ったら皆と合流しなきゃ。
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