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「目覚めた?」
近くから優しげな声がして私は起き上がり、声のする方を見た。
「何か飲みたい物はある?」
優しげな中年女性がそこにいた。
「大丈夫、です。あの、ここは?」
「海沿いにある民宿と言ったところかな。本当、良かった。琉希君のおかげね」
「琉希くん?」
聞き覚えのない名前だ。
「あなたのお友達よりもすぐに助けに行ったのよ。近所の子なんだけどね。ちょうどうちのチビ達と遊びに来ていたの」
「そう、なんですか」
「人工呼吸してなかったらあなたはどうなっていたか・・・」
えっ?
人工呼吸!?
「そ、その彼が・・・私に?」
「ええ。そうだけど?」
や、やっぱり夢じゃなかったんだ。
人工呼吸・・・
「あの、皆は?」
「私に任せて海に戻ったわ。あら、また戻るつもり?」
「い、いえ!その、彼にお礼がしたくて」
「なら、地図を渡すわ」
「え?」
「うちのチビ達と遊んでいたんだけど、家に戻ったそうなの。ここから遠くないし、まだ家にいると思うわ。あの子、あまり出かけない子だから」
「あの、色々とありがとうございます」
「いいのよ。そうそう、高城さんってお家の子よ。今はあの子しかいないと思うから」
「あ、ありがとうございます。お礼は後ほど・・・」
「良いのよ。助かって本当良かった。感謝すべきなのは私より琉希くんよ」
「は、はい!」
私はおばさんにお礼をたくさん言って地図を貰うと、民宿を出た。
このカッコじゃ失礼だよね?
私は更衣室で先に今日着てきたワンピースに着替えた。
確か、高城さんとこの琉希くんだっけ?
私は地図を参考にしながら家を探す。
彼にお礼言ったら皆と合流しなきゃ。
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