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「ここ、かな?」
私はある一軒家の前に着くと、言う。
ドアの横にある表札には確かに“高城”と表記されていた。
私はインターホンを鳴らす。
どんな人なのかな。
てか
返事無かったけど、大丈夫かな?
留守・・・?
私が出直すべきか悩んでいると足音が聞こえてきた。
そして
ーーガチャ。
中から男子が出てきた。
恐らく私と同い年くらいだろう。
髪は真っ黒で少し長めで、目つきは鋭く、佐倉くんとは違ったタイプの美少年だと思った。
彼は爽やかというよりクールな感じに見えた。
「あれ、お前・・・」
「さ、先程は助けて頂きありがとうございました!」
私はお辞儀して言う。
「ああ。わざわざお礼言いに来たんだ」
「あの、何かお礼をさせてください」
「いいって」
「でも・・・」
「・・・ったく、カナヅチなのに海入るなよ」
えっ?
「わ、私は転びかけて・・・」
「でも、ずっと立ち尽くしてたじゃん。泳げないのは事実だろ?」
なっ!
「確かにカナヅチだけど!皆と行きたかったから・・・」
「でも、お前が溺れてもすぐ気付かなかったような奴らだぞ?」
何なんだろ、この人・・・
「わ、私は!」
「溺れたのは自業自得だろ」
「や、やっぱりあなたにはお礼なんて差し上げませんっ」
「別に良いよ。いらねぇし」
「もう良いです!」
彼と話すのが嫌になった私はその場を後にした。
何なんだろ、あの人!!
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