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「あ、いやがった!お前、スマホ落としただろ!家の前に。本当おっちょこちょいな女だな!」
さっきの男の子が私を見つけ、言う。
だけど
彼の話は耳には入ってこなかった。
涙が止まらなくなっていた。
私、りっちゃんに裏切られたんだ・・・
「おい、カナヅチ女!」
「最悪だよ、もう!」
私はその場にしゃがみ込む。
「溺れて醜態晒すし、失恋するし・・・しかも佐倉くんの相手はりっちゃんで・・・」
「失恋?」
「来なきゃ良かったんだよね。君が言うとおり、私は泳げないんだもん。バカだ、本当に」
「慰めてやろうか?俺が」
彼が言うと、私は睨む。
「嫌な人に慰めて貰うくらいなら一人で泣いた方がマシっ」
「誰が嫌な人だ」
「ホテル帰るの嫌だな・・・」
「てか、ここにいるわけにもいかんだろ。もうすぐあいつらこっち来る」
「あ・・・」
「仕方ねぇな。来い」
えっ?
彼は私の腕を引っ張る。
「あ、あの?高城くん?」
「誰が高城くんだ?」
「だって、表札!」
「・・・黒澤琉希。高城は叔父さん達の苗字だ」
「え?ご両親は?」
「いない」
え・・・
てか
私、どこに連れてかれちゃうんだろ!?
「え?君の家?」
「とりあえずかくまってやる。叔父さん達留守だし。お前、いつ帰るんだ?」
「明日・・・」
「なら、今夜だけ置いてやる」
「ま、まさかいやらしい事を・・・」
「考えるか、バカ」
やっぱ嫌な感じだな、この人!
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