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けど
「あ、ありがとう。赤の他人の私をかくまってくれて」
「別に。あんな所に女一人置いとくのは嫌だったから」
「あ、ありがとう!黒なんとかくん!」
「黒澤だ!」
「あはは、ごめんなさい」
「お前って面白いな。今日一日で不幸な目に遭いすぎ」
「わ、笑うな!私、結構辛いんだから!」
今日は最悪すぎるもん。
けど
「肝心のお前の名前、聞いてない」
あ・・・
「藤枝静乃・・・」
「静乃ね。さっきから静かな要素ないけど」
「そ、それは!黒澤くんが私に意地悪言うから!」
「お、苗字覚えたな」
「ま、また怒られるの嫌だし」
「俺ってそんなに怒りっぽく見えるか?」
「だ、だって!初対面だったのに冷たかったし」
「悪かったよ。俺はああいう上辺な感じが嫌いなもんでな」
「上辺?」
「お前があいつらとの間に距離あるの見てて分かったし。上辺な関係するのバカだろうってな。傷付くだけだ」
「そう・・・だよね」
分かってはいた。
だから、あんな事になった。
「きっと私があのまま大変な事になっても、彼らにはどうでも良いんだ。私はその程度なんだ」
「そんな落ち込むなよ。あいつらがお前と合わなかっただけだろ。まだ出会いはあるんだしさ」
「出会い・・・」
「そ。大体、あの男のどこが良いんだ?何か笑顔が嘘くさい」
「黒澤くんはあまり笑わないじゃない」
「俺はへらへら笑う男じゃない」
「でも、確かにそうかもね。黒澤くんとは出会ったもんね、早速」
「え?」
「二回も私を助けてくれた。だから、良い人だって分かった。感じ悪いけど」
「っ!」
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