第1話

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けど 「あ、ありがとう。赤の他人の私をかくまってくれて」 「別に。あんな所に女一人置いとくのは嫌だったから」 「あ、ありがとう!黒なんとかくん!」 「黒澤だ!」 「あはは、ごめんなさい」 「お前って面白いな。今日一日で不幸な目に遭いすぎ」 「わ、笑うな!私、結構辛いんだから!」 今日は最悪すぎるもん。 けど 「肝心のお前の名前、聞いてない」 あ・・・ 「藤枝静乃・・・」 「静乃ね。さっきから静かな要素ないけど」 「そ、それは!黒澤くんが私に意地悪言うから!」 「お、苗字覚えたな」 「ま、また怒られるの嫌だし」 「俺ってそんなに怒りっぽく見えるか?」 「だ、だって!初対面だったのに冷たかったし」 「悪かったよ。俺はああいう上辺な感じが嫌いなもんでな」 「上辺?」 「お前があいつらとの間に距離あるの見てて分かったし。上辺な関係するのバカだろうってな。傷付くだけだ」 「そう・・・だよね」 分かってはいた。 だから、あんな事になった。 「きっと私があのまま大変な事になっても、彼らにはどうでも良いんだ。私はその程度なんだ」 「そんな落ち込むなよ。あいつらがお前と合わなかっただけだろ。まだ出会いはあるんだしさ」 「出会い・・・」 「そ。大体、あの男のどこが良いんだ?何か笑顔が嘘くさい」 「黒澤くんはあまり笑わないじゃない」 「俺はへらへら笑う男じゃない」 「でも、確かにそうかもね。黒澤くんとは出会ったもんね、早速」 「え?」 「二回も私を助けてくれた。だから、良い人だって分かった。感じ悪いけど」 「っ!」
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