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あれはいくつのときでしょうか? 10歳くらいだったような気がします。まだ匂いのしない子どもだった事だけは、はっきりと覚えているのですけど。
学校の帰り道、通学路の脇で段ボールに入れられて捨てられていた一匹の仔猫を拾いました。薄汚れているとはいえ、白猫なのに口周りだけまだらなブチがついている仔猫でした。
幼心にでさえ、恐らくこの仔だけ捨てられてしまったのだろうと、うっすら分かってしまい、後先考えずに抱き上げて連れて帰りました。
仔猫はオス猫でした。そして随分私の手を引っ掻きました。小刻みに震えていて、ガリガリに痩せた体は触ると背骨の形が分かるくらいで、お腹も空いていたはずなのに、それでも、私の手を頼りたくはなかったようなのです。
連れて帰るとそんなに優しくはない義父に叱られるかと思ったのですが、それまで知らなかったのですが、意外な事に義父は動物が好きなようでした。
どんな悪人にも一つくらいは良いところがあるのかもしれませんね。
義父においてはどうやら動物に対する気持ちのようでした。
私が薄汚れた仔猫を洗うのを義父はあれこれ口を出しながら手伝ってくれました。
それは私にとってはとても異質な事だったので鮮明に覚えています。
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