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「で、綾…ごめんなさい」
綺麗に斜め45度で頭を下げて誠心誠意、心を込めて謝った。
謝る理由がまるでわからないが、選択肢は多分これしかない。
まっこれで殴ったりされな…。
「許すわけないでしょっ」
すでに左フックが顔目掛けて飛んできていた。
やられるな…そう確信して目を瞑った。
あれ…こない。綾のことだ、目を開けたらくるかもしれん。
「綾、顔を殴るのはやめてくれないか?」
恐る恐る目を開けると沙羅が綾の拳を受け止めていた。
「なんで邪魔するのよ?私は由夜を殴って蹴って死なない程度にボコボコにしたいの」
「それは困る…由夜は私の物だ」
「きたばかりのあなたに由夜の何がわかるの?由夜は殴られたいのよ、私に」
「む、そうなのか…今度殴ってみようか……いやとにかく由夜は私の物だから君に殴らせるわけにはいかない」
色々言いたいがなんだか2人は今にも喧嘩を始めそうな気配がある。
仕方ない、ここは俺が素直に綾にボコボコにされて解決を…べ、別に綾に殴られて嬉しいとかこれっぽっちも思ってないんだからね。
「ストープ…2人とも落ち着きなさい」
「ふんっ」
「むっ」
俺が割り込む直前、静恵さんが声をあげた…言われた2人は黙り込んだ。綾も静恵さんの怒った姿をみたことがあるからだろうが、素直に沙羅がひいたところをみるとそれを読み取ったようだ。
静恵さんが怒ったら大変だからさ。
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