~第八章高坂由夜の憂鬱~

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「由夜、逆にありがとう」 「気にすんな、ピエロ」 そんな道化からビデオと数枚のDVDを受け取ると楽しそうに目の前の道場に入って行った。 うまくできている…あの道場は夕方になると入り口で沙代子さんが庭掃除をしているのだ。 それを見れば奴は間違いなく入門する。そんな状況にも興味が沸いたけど早速部屋に戻りまずはDVDから攻めることにした。 DVDは三枚。 好きなものは好きだからしょうがないだろ。 大好きなお兄ちゃん。 ビコ。 DVDの見た目から最後はアニメか。 まあ上から順に再生していくか。 みたいのはあれだし時間ないから30分飛ばして再生。 「孝之の中暖かいよ」 「僕も孝之くんとひとつになれて…」 「ああああああああああああああ」 すぐに再生をやめイヤホンを外した。 大声を出してしまったためか階段を登る音がする。マズイ、そう思いベッドに全て隠してテレビを消し腕立て伏せを始めた。 「由ちゃん、どうかしたのっ」 「な、なんでもないですよ…ただ筋肉が言うこときかないから叱ってたんです」 昨日のことは話してある…だから俺が体を鍛える行為は理に叶っている。でも指が折れているわけだし全身が非常に痛い…が今は堪えるしかない。 「そうなの…でも怪我してるんだからあんまり無茶はだめよ?」 「わ、わっかりました」 そういうと戻っていった。 天沢…貴様はやってはいけないことをした。
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