14人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
日の光りがカーテンから漏れて、それによって目が覚める。多分時間はギリギリかな。
それより寒い、沙羅を抱きしめないと…。
「あれ、なんだこれ」
「ん……んん」
目を擦り沙羅を確認すると、相変わらず下着姿で魅力的な沙羅だ。
おかしなことと言えば頭の上に尖んがった耳、小さくてキュートなお尻とパンツの間からはみ出した立派な尻尾。
黄色くてフサフサ…。
ああ、そうか…まだ体は疲れているから寝ろと幻覚を見せているんだな。
「ってんなわけないよな、ほっぺ抓ったけど痛いし」
ならこれは現実か?
いやいやこういう安易な考えをするから俺はダメなんだ。
「はっ、おはよう由夜っ」
「おはよう」
「ふふふ、君が起きたら私はすぐに起きてしまう。おおっと隠し忘れたか」
そう言って指を鳴らすと隠れた、いや溶け込まれた、とでも表現した方がいいのかもしれない。
昨日の話の延長で証拠出してきたか。
認めざるを得ない状況というわけだ。
「でも沙羅だぞ。芸のひとつやふたつ持っていても不思議ではない…」
「なにをぶつぶつ言っているんだ。もしかして私と別れたいのか?」
「あ、いやそうじゃなくて…」
「そうか、君がそういう結論に落ち着いたのなら仕方ない。じゃあ私は食べて自殺か、殺して自殺か…選ぶことにしよう」
どっちも俺死ぬじゃん…つうか怖いよ。
そんな危ない沙羅を放置するわけもなく目の前に正座させた。
「で、どういうことなんだ?」
「由夜を失うぐらいなら私が終止符を打つ。何故なら私は君を愛して、愛して、愛しているのだからな」
「そっちじゃなくてさっきの…」
「尻尾と耳か…だから昨日言っただろ。証拠をみせたまでだ。全く相変わらず物覚えが悪いな君は…」
カチンときたけど今は堪えよう。
怒る時期ではない。
最初のコメントを投稿しよう!