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「う~ん」
「なんだ、我と居るのが不満なのか?」
「そんなことはないですよ…おはようございます」
慣れたものだ…こうして挨拶するのも。
幸いにも沙羅は待機だ。
いや本当は断った。
いつもなら沙羅と会長を交えうるさいぐらいに話が続くんだが…さすがに気まずさがある。
適応が高いわけでもなければすぐに決断できる人間でもない。
いやそれらがあったとしても厳しい。
現実味がない。むしろ何故こんな時期なのだろう。
もう後はハッピーエンドに向けて進むだけなのにどうして今なのだ。
最初から言ってくれればよかった…心身共に結ばれた今言うべきではないだろ。
俺にどうしろと言うんだ沙羅は…。
でも好きな気持ちには変化がない。
だったら矛盾してしまう。沙羅の存在が好きなのに高だか人ではないというだけで動揺するなんて…。
「会長である我を馬鹿にするのはお前だけだな。たまにこうして遅刻しないかと思えば適当に仕事をして…」
「会長は沙羅と付き合い長いんですよね?」
「ん、そうだな。小さい頃に家の関係でよく顔を合わせていたな。柔道を始めたのも沙羅に近付くためだ」
この人はもうフリーダムだな…けど小さい頃を知ってるなら沙羅が人じゃないという事実も…。
「そうですか、しかし俺も昔沙羅とは会っていたんですよ」
「そんな話何千回も沙羅から聞いたわ」
「つうかなんで沙羅を霞ではなく沙羅と?」
「そんなのは沙羅に沙羅と呼んでいいかときいたからに決まっているだろ」
勇み足は良くない。もしかしたら俺だけに打ち明けた可能性だってある。
にしても仮に結婚まで行くぐらいに親しいわけだし…はあ、なんで俺はこんなにも悩むんだ。
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