第1楽章 風神(ウィンディ・ゴッド)

3/9
前へ
/257ページ
次へ
黒猫のお面を着けた少年は左側からある集団を追い掛けていた。 その集団の先頭が見えると、少年は前へ回り込む。 後ろから追ってくる白いお面の少年に気を取られて、気付かなかったのだろう。 少年が回り込んだ時に集団は慌てて、右側へ逃げた。 …が。 「い…行き止まり!?」 リーダー格の人物が狼狽した声を上げる。 それを聞いた部下は、絶望を感じた。 「オレ達の庭で逃げられると思うなよ、ゲス」 ついさっき通った道を塞ぐように、二人の少年が立ちはだかる。 黒猫のお面の少年は、吐き捨てた。 「さぁ、吐け。 てめぇ等の悪事を全て。」 お面越しに少年は集団を睨む。 ゆっくり、ゆっくり近付いてくる少年達に恐怖を感じて、黙り込む。 「どうやら、腹に大き目のピアスホールを開けて欲しい様だな」 黒猫のお面の少年は、サーベルの半分くらい長い爪の先を、リーダー格の脂肪の詰まったお腹に宛がう。 スーツ越しでも、爪の鋭さを感じて、死の恐怖を覚えた。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加