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人気のない、夕暮れ時の学校で。
肩をよせあい座る、非常階段の陰。
「ここなら誰にも見付からない?」
首を傾げる俺に。
「さぁ?」
同じく首を傾げる君。
二人、同時に吹き出して。
どっちでもいっか、と笑いあった。
「星が見えるまで、一緒にいよう?」
俺の肩に頭を乗せて。
言いながら、ゆっくりと眼を閉じる君。
ホントは星を見付ける気なんて、ないクセに。
でもそれは、俺も同じで。
段々と暮れゆく空をボンヤリ眺めて。
輝き始めた星は、見ないフリ。
君の髪を時折撫でて。
可愛らしいつむじに、ちゅっ、とキスをする。
ついさっきまで赤く燃えてた太陽は、地平線に姿を消し。
見上げた夜空に瞬く、小さな星々。
「ねぇ…星、まだ見えない?」
そんな問いかけに。
「ぜ~んぜん」
答えながら。
君の肩を、ぎゅっと抱きよせた。
「……じゃ、まだ一緒に居られるね」
囁いた君に小さく笑って。
俺もそっと、目蓋を閉じた。
見え透いた俺のウソ。
それを許した、君。
一緒に居たい気持ちは。二人、同じだった。
そんな、些細な出来事に感じるシアワセ。
今のキモチを言葉にしたなら。
それはきっと、こんな感じ。
『俺ってめっちゃ、愛されてる!!』
END
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