scene007

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順調に進んでいる説明にボクは暑くもないのに汗が出てきそうだ。理由は簡単、灰の鋭すぎる視線。 資料の映るスクリーンやパソコンの方に外れる視線以外は確実にボクに置かれている。 いやいや可笑しいでしょ!そんな怖い顔して説明しないでっ!ボクなにやらかしたの!? ずっと答えの返ってこない疑問を頭の中で灰に文句としてぶつけるがこの状況を打破することは出来ない。できることは手を膝に置き姿勢を正して灰の説明を真剣に聞くこと。ただし異様な緊張感の中で内容の理解に重点を置く事は難しかった。 他の先生方は異変に気付くわけも無く、手元の資料を見ながら灰の質問を聞いている。 羨ましい!ボクもそっち側に行きたいよ!! 「以上です」 「ここからは質疑応答の時間とさせていただきます。何か質問のある方はいらっしゃいますか?」 司会者の発言に挙手をしたのはほとんど理数系の先生方。どうも攻撃的圧力を感じる。遠目からでも灰が嫌な顔を一瞬したのが分かった。
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