scene008

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「…暑っ」 待ってましたとばかりに輝く太陽を気休め程度に自分の掌で遮った。 落ち着かないような生徒たちに、慌ただしい保健委員会、去年とは別のグランドは人で溢れていて賑やかだ。 『始まりました!待ちに待った体育祭!ここでテストで溜まりに溜まったストレスを発散しましょうぞ!!』 放送で聞こえてくる夏くんの声にクスッと笑いが洩れる。 パッと前に目をやると丁度、救護テントの反対側が生徒会本部テントとなっていて、一瞬で見つけられた。 「…やっぱりジャージ良い」 詰まらなそうに椅子に深く座っている灰をじっくり観察する。今年はスーツ姿ではなくジャージを着ている灰は見慣れなくて少しドキドキする。 「ちょっと先生!成瀬先生に見とれるのもいいですが指揮とってくださいよ競技始まっちゃいますよ!」 「み、見とれてないですよ!…えっと、では1年生は熱中症対策の呼び掛けと放送部との連携を、2年生は怪我人の対応と記録を、3年生は怪我や熱中症の処置をボクとお願いします。忙しい1日になるとは思いますが皆さん頑張りましょうね」 途端に「ハッ」と敬礼した綺麗な整列。保健委員会はそんな軍的では無かったはずだ。
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