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「位置についてよーい」
パーンッ
後はその音に引きずられるように走り出した。斜め前の背中を追う。
もっと運動しとけば良かったとかこれ以上本気は怪我するとか応援がうるさいとかどうでも良いことばかり考えて耳に付く。
いやいやボク勝負受けてないし、良いよって言ってないし。
鼓動が凄く近くで鳴っている。自分の呼吸音が聞こえる。
『おーっと。借り物の書かれたカードの前に一斉にたどり着きました!さーどんな借り物をひきあてるのでしょーか!!』
ボクは、お願い!!と念を一瞬送って一番近いカードを拾い上げる。
裏返して出てきたお題は。
「…友達……え?」
もう一度見返す。
その時点で他の人はお題の物を借りるため走り去っていく。残されたボクはもう一度お題を声に出した。
「ともだ」
『どうしたー!!如月先生!!カードを見つめたまま動かないですぞ!!これは難問の予感!!がんばれー!!』
パチッと覚めてうるさい夏くんに内心文句を投げつける。
友達……って誰だ?ボク友達いる?……っうわ怖っ!このお題怖い!!大丈夫!学園にいないだけで街に下りればいるもん!って今から街下りれないでしょ!夏くん!はダメか。……灰……は、ダメだよな、怒られるし、ボクもこのお題で借りたくない…。やばい!棄権しよ!
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