scene008

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暑さでやられた頭では回転速度が追い付かず早々にリタイアを考え出した。 バッとグランド中に視線を凝らす。顔を上げて分かった事は殆どの生徒の視線が向けられていたということ。 こんなにも人がいるのにお題に当てはまる人物は誰一人見つけられない。 ちょっと泣きそう。 いや、もともと友達作るの下手だし、仕方ないよ!それにここ職場だし!友達とか、友達とか……。 本格的にぼやけてきそうになる視界を凝らして友達になれそうな人を探す。 黒黒黒茶黒茶茶茶黒茶茶茶茶黒黒……。髪色の認識しか出来ず視線を下げようとした時。目に入った一色がボクの視界を広げた。 「あ」 目があった。足が地面を蹴った。 恐らくボクがそこに向かっていると気づいた人物は慌てている。 『如月先生が動き出したー!!』 久しぶりに会うからかウキウキしてこんな状況でも頬が緩んでしまう。周りのザワザワは応援席に近付けば大きくなる筈なのにもう気にならない。 応援席を抜けて少し影になっていた木の下に彼はいた。 直前で逃げそうになった人物の腕を掴む。 「行くよ!鈴城くん!」
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