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「頭が弱い事は分かったので、まぁ重々承知していましたが、黙ってもらって良いですか?」
「相変わらず言葉が痛いよ。というかお忍び?1人?」
鈴城くんが目を細めた。
「お忍びと分かっていて全校生徒の前に連れ出したんですか?信じられません」
「だってしかたないし……でも!見つけた時は神様に見えたよ!で、1人?」
「そんな安っぽい言葉いらないですよ」
視線がボクの手元に移る。ボクたちの優劣が少し動いた。ボクはちょっといじめたい気持ちもあって再び「1人?」と同じ言葉を問い掛けた。
鈴城くんの表情が悔しがっている。
「…違いますが」
「誰と来たの?」
鈴城くんに近づいて子どもに話しを聞くみたいに、その表情を覗き込んだ。
「…貴方には関係ないでしょ?」
「で、誰と来たの?」
「……何でそんな」
「誰?」
「渚ですよ!何ですか文句ありますか!?」
自分の口元が緩んだ事を感じる。
「全くありません」
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