scene008

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清々しい程言い切った鈴城くんにムッとして左右に引っ張っていた頬をむにゅっと潰す。そんなボクの攻撃に鈴城くんもボクの頬を引っ張る力を少し強めた。 誰が見ても可笑しな光景なのだが、ボクたちは譲れないし、真剣そのものだ。 「…何してんだ、お前ら」 突然の人の気配に驚いて固まってしまう。バッと目線だけ向ければ、灰と一条くん。 「お久しぶりです如月先生。相変わらずですね」 「あ、おひしゃしうい」 間抜けな声に一条くんが吹き出している。失礼な、と眉を寄せようとすると鈴城くんが思いっきりボクの手を振り払い逃げていった。 「成瀬先生、ご無沙汰しておりました」 「お前も元気そうだな」 副会長に戻ったみたいに丁寧に一礼する鈴城くんを見て対応の違いに文句が零れそうになった。 大学はどうだ?とかありきたりな世間話が始まる。灰と会話する鈴城くんはどこか緊張しているように感じて、 あっ前好きだったんだもんな…と少し様子を窺ってしまった。 今は一条くんいるから好きじゃないよな?でもなんだか表情が…まぁ前好きだったんだし無関心な訳ないか。何かちょっと嫌だな。てか暇だしボクは一条くんに話しかけた方が……わっ!一条くん不機嫌そー!!凄く嫉妬している!これはお仕置きコースだな鈴城くん!というか灰はボクの……。 そこで、ハッと気がついた。
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