scene008

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灰から身を隠す物(人)もなくなり、誰が見てもあたふたしていると見えるボクの頭をガシッと灰が手で捕まえた。 いーやー!!恥ずかしいんだって!気付いて!察してっ!灰の分からず屋っ!! 「ごめんっ、ごめんねっ!!何かあの時は必死というか、訳分かんなくなっちゃって!いや本当にびっくりだよね!!あははっ…笑えないよね?…… ごめんなさい…」 どう頑張ったって灰に自分の目を見せることは出来なくて、意味のない木の幹にそれを逃がしていた。 「俺にはごめんねの意味が分からねぇんだけど?」 「ごめ、ぇ?」 灰の言葉を拾い上げたのに難読な暗号文に聞こえてきて驚きで顔を上げてしまった。「お、やっとこっち見た」と何とも聞いたことあるような常套句を呟く灰に、あぁボクが腐男子だからか…と考えられるまで思考が落ち着いた。 「えっと、今なんと?」 「だから雪が謝ることはないだろ?」 「え!?えっ!!だってボクの軽率な言動で学園中にバレたじゃん!」 しーん…と風の音さえ無くなる静けさの中「え、あれで隠してるつもりだったのか?確かに暗黙的な感じにはなってたけど、マジか?」「渚、駄目ですよ如月先生はあれでも必死で隠してるつもりだったんですから、そっとしてあげてください」 そこの外野うるさい!
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