scene008

20/27

2705人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
フッと頭の中が静かになる瞬間があって、ごちゃごちゃに纏めていた言葉は全部流れていってしまった。 「え、……そうなの?…だって決定的だったし。でも隠してたよね?あれ?」 「俺は雪が隠したがってたからのってただけだし、俺としては周知されてた方が何かと楽」 「……らく」 淡々と話す灰の言葉に少し反応が遅れてしまう。そんなボクから逃げていく言葉の最後を捕まえようと繰り返すことしか出来なかった。空気を多く含んだオウム返しは灰の声よりも直ぐに呆気なく消えていく。 「楽は言い方が悪いか。だから知られてたら牽制できるし安心だろ?」 「あぁ、なるほど………?」 きちんと頭で理解するよりも先に灰の言葉に納得させられる。 そんなボクの姿に満足したのか灰はボクの髪に指を通した。怒ってはないみたいだし、というか機嫌がやけに良いし、まぁ良いっか。とその温かな体温に身を寄せる。 「それで納得すんだ…すげぇ…」 一条くんの表情はボクが白い孔雀とか白い烏とかを発見した時に見せる表情に近いような気がする。それに鈴城くんが何かを呟いて一条くんが吹き出した。 …仲良いなぁ。たぶん失礼な事言われたんだろうけど。 その事は一条くんが鈴城くんの髪を撫でようとして速攻払い落とされるというツンデレの被害現場を見れたのでチャラにした。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2705人が本棚に入れています
本棚に追加