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バッとボクがそのほっぺを潰しにかかる前に鈴城くんが一歩後ろに引いた。目も合わせてくれないのに勘が良い。
「友達になってないとか言うの禁止って言ったじゃん!絶対禁止!」
「は?そんな決まり事なんて知りませんし!涙目止めてもらって良いですか?うざいです」
凄く失礼な視線を貰う。灰も傍観者を決め込んでるし、一条くんなんてニタニタ笑ってる。
ボクに対して無遠慮な鈴城くんにお仕置きしても良いよ?ボクの前で。
そんな私欲全開の視線に気付いた一条くんがボクに目を向ける。あまりにしっかりとした目つきだったので動揺したが冷静を取り繕った。
「如月先生、安心してください。コイツこんな可愛くない事ばっかり言ってますけど、今日ここに来るのかなり楽しみにしてたんですよ?」
「え!?」
まさか応戦してくれるの!?という反応だったが徐々に内容が理解出来てきた。相変わらずの笑みを深めて鈴城くんを眺める一条くんに信じられないとポカンとする鈴城くん。ここは楽園なんだろう。ありがとうございます。
「何言ってるんですか?意味分からないこと言わないでください!あまりふざけていますとその口塞ぎますよ?コンクリートで」
「口にしてよ!あ」
両手で口を押さえたが鈴城くんには意味が伝わってないようで、ちょっと黙っててください!と威圧感で伝わる一瞥を投げられた。
危ない危ないと深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、一条くんと鈴城くんの貴重な言い争いを自ら軽率に遮ってしまったという事実に気が付き、膝から崩れ落ちそうになる。
グッと悔しさを押し殺して前を向く。
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