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あれから保健室に鈴城くんと一条くんを招いて気合いを入れてお茶を出したんだけど、鈴城くんは終始ぷりぷりご機嫌斜めだった。原因の殆どは一条くんにあるのだが楽しそうな一条くんを見ているとどうも助け船を出す事が出来なかった。
前からあんなに鈴城くんを突っついて楽しむ人だっただろうか?
まあ必ず反応を見せる鈴城くんだからついついからかいたくなる気持ちも分からないでもない。本気で嫌がるギリギリを保っているような一条くんは流石だと心の中で脱帽した。
「おい、戻ってこい雪」
ムニッと摘ままれた頬にハッとなって声の落ちてきた方を見上げると、灰が呆れた顔色を隠さないでいる。
ローテーブルには空っぽのカップが3つ。
「なんだ、また寂しくなったか?」
優しくて温かな声質がボクにじわっと染み込む。
「ううん。なんか大人っぽくなってたなぁと思って、制服じゃないからかな。でも鈴城くんは変わってなかったね」
残っていた自分の冷めたカップの中身を飲み干してトレイに乗せて片付けの準備をする。
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