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「…もっと俺に対して怒っても良いんだからな?」
「灰は怒られたいの?」
「…いや」
考え込むように唸った灰がぎゅーっと力を入れてくる。ボクの首許に顔を埋める灰に少しびっくりしてしまったが、その姿が可愛らしく見えてしまい、ポンポンと軽く頭を叩き髪に指を通す。
「灰が可愛い」
ガツっと顎に頭突きを貰った。
「…痛いんですけど?」
ボクの棘のある言葉には無反応を貫き通す灰の態度に我慢出来なくなったボクはとても近くにある金髪をぐしゃぐしゃにする事にした。
容赦なく髪の毛を両手でかき回していると、灰の手に邪魔をされた。両手首が捕まったのでハグも終わって身体も少し離された。
灰の表情を覗き込む。
「…何すんだよ」
「凄いボサボサだね」
無言で両手を灰の頭に乗せられる。整えろという事らしい。
仕方無く両手首が捕まったまま、せっせと手櫛で灰の髪の毛を整えていると不意に視線が絡まった。
あっ、とその視線の意味を理解する前に灰の唇が触れる。凄く自然な事だったがやっぱりどこかくすぐったい。
「何で、おでこなの?」
「駄目だったか?」
「できれば口が良いですけど」
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