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だから徹底的に無視して他人の振りをして、そして案外平気そうに振る舞って…ボクは3日で音を上げた。
「はぁ…」
保健室内の白が重い。
ボクはそうやって自分の苛立ちをアピールして灰の気を引きたいだけだ。途轍もなく自分がこどもに見えるのにその方法しか取れなかった。
我慢の限界はとっくに過ぎてるのに会うことは出来ない。そして何故か今回良い子ちゃんな灰がボクの元にこっそり現れてくれるなんてことも無かった。
トントンッ
もうその音に期待はしない。
「…どーぞ」
一拍しっかりと間を置いて開いた扉からピョコッと手で作った狐が顔を覗かせた。
「今日も元気のない如月先生に愛のお手紙だコンッ」
「郵便屋さんって普通狐よりヤギじゃないの?」
「ヤギは手紙を食べてしまうのでNGですぞ」
扉から狐を指で作ったまま夏くんが保健室に入ってくる。片方の手には生徒会の仕事なのか書類が数枚。
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