scene009

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夏くんも困り顔で首を傾げている。それだけで不安な気持ちは膨れる。 毎日保健室に来てくれる夏くんから聞いているので日々の灰の様子は何となく掴めている。 不機嫌でもなく上機嫌でもなく極めて冷静なのだと言う。ただ小野塚先生とは一線引いたような距離を作ってくれているようだ。 「なーんで、何でも無いように出来ちゃうんだろう…やっぱりボクの方だけなのかな…こんなに会いたくなってるの」 だらしなく力を抜いてソファーの前のテーブルに頭を乗せる。 「ホスト教師もかなり限界きてるとは思いますぞ?…何故か今回それを表情に出さないからクラスのみんな怖がっちゃって…いつ、そのか細い糸が切れるのかドキドキで休み時間みんな古典の予習復習に命掛けてますぞ…あれは正に嵐の前の静けさ…誰か俺に古典の力をっ!」 ボクを笑わせようと震えて見せる夏くんに少し元気を貰い、ボクも無理無い笑みを夏くんに向ける。 「というか如月先生がホスト教師に手紙で聞けば良いんじゃないですか?なんで処罰を受け入れたのか。ホスト教師は毎日手紙書いてるのに如月先生一回も返事してませんぞ?伝書鳩も一方通行は悲しいですぞ?半分も仕事してないですからね?それにホスト教師も喜ぶと思いますぞ?いや、それが起爆剤になってしまうと、いや…んー」
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