scene009

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バンッとテーブルを叩く音が部屋の中で短く響く。ビリビリする自分の手のひらは少し熱を持ち始めた。 シーンと雪が降った日の朝のような静けさが俺とホスト教師の間に流れた。かと思えば、それを鬱陶しそうに断ち切ったのはホスト教師。なんとも面倒くさそうに溜め息を付く。 「…それはお前にも教えられねぇ。でもこれはのちのち雪の為になることだから」 「自立、独り立ちとかです??」 「……お前完全に雪をこども扱いしてるだろう」 全力で首と両手を振る。遠心力で頭がおかしくなりそうだが、意味深で訳わからないホスト教師のお言葉で俺の頭はもはや急停止寸前だ。 「まぁ、お前もその内分かる事だから。そのために暫く俺は雪に会えない。会えないから書いた手紙をお前に届けて貰いたいんだけど?嫌なら他の奴に頼むけど、どうする?」 「やります!やりますぞ!やらせてください!この伝書鳩の達人と言われた青葉夏にどうかその想い溢れる大切なお手紙をお預けください!!この青葉夏にお任せください!どうか!どうか!」 俺の心はこんなに熱々なのに周りが驚く程氷河期。
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