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アクセル全開で暴走し始めようとしていた委員達の熱も堤くんの言葉を聞き、少しは落ち着きを取り戻しつつある。
ボクはテーブルを陣取るだけの紙に手を置きそのままテーブルの上を滑らせ意識的に床に落とした。バサッという乾いた音がボクの中だけで反響する。
生徒に悪影響だという理由で灰と離されたにも関わらず、この記事が出てしまった事が非常にまずい。
国語団の教科長の目に入っていたら期間が延びるどころか更に罰が増えそうだ。これ以上は耐え性の無いボクには無理。
浮いた言葉は人から人に渡り歩きながら徐々に姿を変え、刺激を飾り立てていく。そんな攻撃的な聞こえない言葉と悪いとも思っていない好奇の目の集まりを想像してしまい、本格的な日常生活の支障に頭痛がする。
「…まぁ、ボクの事は良いので、そろそろ保健委員会の」
トントントンッ と扉を叩く音。
委員の視線が扉からボクに移るのを感じ、扉の向こうの相手に見当を付けれらないまま「どうぞ」と訪問者を許した。
扉は開けられる。
「…失礼します。今お時間大丈夫ですか?如月先生」
皆の視線は突然の訪問者たちに釘付けだ。両隣に座っていた委員2人も勢い良く立ち上がりよろける始末。誰かが唾を飲み込んだ音が聞こえた。
「…風紀委員会」
堤くんの小さな声に隠れて「家宅捜索だ」と呟いた人は誰だろうか。
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