scene009

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ボクはそっと息を吐き、風紀委員会の欲しがる言葉で2人の冷戦を終わらせた。 「…ボクに用ですよね?でしたら、どうぞこちらのソファーに」 堤くんはとても納得出来ないような表情を浮かべ、涼しい顔で通り過ぎる秋くんを忘れず威嚇している。 風紀と保健委員会の力関係は対等では無いはずなのによくもあんなに噛みつけるな。守るべき物がある強みなのだろうか。 堤くんの鞄も今はあの厳重体制の囲いの中。 秋くんともう1人が向かい側のソファーに腰を掛けた。他の風紀委員はその後ろに控えて立つ。それだけで押しつぶされそうな威圧感があり、たまらず視線が落ちそうだ。 「で?用件は?」 今は無敵タイムの堤くんが声を尖らせ、ボクの隣りに座る。少しの安心感はとても嬉しいのだけれど、ボクと堤くんにしか見えて無いことを良いことに、風紀の後ろの遠い方で保健委員の固まりが口パクで応援してくるのはとても邪魔に思えた。 もう少し落ち着いて。 「もう心当たりがあるようですね。如月先生」 「…えぇ、まぁ大体予想はしてますが、そちらから切り出すのが礼儀ではないですか?ボクはそういう鎌掛けは嫌いです」 とびっきりの笑みを貼り付けて、今は上手に風紀委員長に化けている秋くんに返す。
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