scene009

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後ろに控える風紀委員たちが小さく慄くのを感じる。大人げない気もするがこちらも風紀委員長である秋くんから言い渡されるであろう台詞は聞きたくもないのだ。 「如月先生もご存知だとは思いますが先生についての」 「あれは嘘の記事だからな!話題作りのために書かれただけだ!そんな事も分からないのか!?」 まさかの堤くんが秋くんの言葉をぶった切った。勢いで立ち上がった堤くんを宥めてソファーに座らせる。 どうしてこんなに気性が荒くなってるんだ?好戦的すぎる。 チラッと保健委員の塊がある方に視線を向けると口パクで堤くんの応援をしている。とても静かな加勢だ。 完全なる敵意識。 はぁ、とため息をついて視線を戻す。 「すみません。続けてください。…委員長、まずは風紀の話しを聞きませんか?落ち着いてくださいね?」 堤くんに呼吸を合わせるように話し掛ければ幾分か落ち着いた様子を見せたが納得はしていないようだった。 「ありがとうございます如月先生。…その記事に書かれたことが本当か嘘かは重要ではなく、この事で一部の生徒達が影響を受けてしまっていることが問題なんだ。そんな事も分からないのか?保健委員長」 隙も無いなように風紀の威厳を纏った秋くんの鋭い言葉は安易な堤くんに突き刺さる。
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