scene009

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「どこまで?……んー…そうねぇ、」 やけに勿体ぶったような口調の姉さんはボクの必死な様子をからかい遊んでいるようだ。 ボクは堪らず口を挟んだ。 「…言う気ないでしょ?」 「ふふっ、そうね。あんまり言っちゃうと私が灰に怒られちゃうわ。でも、まぁ 私に話した事が全てではないようだし、私から聞いたって貴方は満足しないでしょ?」 「……そうだけど、」 もう不満だよ。と声に含ませれば姉さんは察してくれたようで、クスクスととても面白そうに笑った。その声が耳を擽り、一瞬電話を切りそうになった。しかし、ボクより一枚も二枚も上手な姉さんが逃げようとするボクを止めるには十分すぎる優しい声で話し掛けてくる。 「あまりキツいようなら会いに行っても良いと思うわよ?実際生活に支障をきたしている訳だし」 「でも、」 「なに?もしかして例の学年主任の事気にしてるの?あんたそんな優等生じゃないじゃない?それとも灰の反応が怖い、とか?」 多分ボクの見えない所で無邪気に悪い顔してるんだろう。声で分かる。何回も見たあの表情だ。 「…怖くない、」
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