2705人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
絶対聞こえないと自分でも確信できるくらい小さな声が出て情けなく思いながらも、そろーっと扉を開けた。
「…如月雪です」
「あぁ、もうそんな時間か。悪いが如月先生はそこで待っててもらえるかね?」
「…え、…はい……」
そこで、と指されたソファーに座るべきか立って待つべきか無意味な思考を凝らす前に見える現実が混乱を呼んだ。
えっ、五十嵐先生と小野塚先生!?なんで!?
ボクとは別件のようだが教科長と机を挟んでボクの苦手な2人がそこにはいた。3人の視線がこれでもかってくらい刺さってきて居心地の悪さに堪らず視線で逃げる。
「あーれ?如月先生?何かご用なんです?」
「私が呼んだんだ。小野塚先生」
「へぇー」
ここは最悪な空間だ。苦手3人衆が揃い踏みだ。
ボクがソファーの端っこに座ったのを確認してからまた3人は何かを話し始める。聞き耳立てるのも良くないと思考を別に向けようとするがこのぎちぎちの空気の中、なかなか自分が思い通りにはならなかった。
なんだか空気が薄い気がする。
最初のコメントを投稿しよう!