scene009

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「…すみません」 と頭を軽く下げながら口だけの謝罪をなぞる。 「君は本当に変わらんね。学生時代からちっともね。そうやって生きてきたんだろう、弱ってる姿を見せれば最終的には誰かに助けてもらえるんだろうね。特に成瀬先生にね」 「…そんなこと」 無いって言ったらこの声で…ボクの声で自分の中のとっても汚い部分が教科長に暴かれてしまう気がした。 「今、成瀬先生は頑張っているよ。大部分は君の為のようだけど、でも彼の成長にもなっている」 皺の目立つ目元にグイッ力を入れてボクを鋭く射貫く。 「…如月先生。君も少しは成長を見せたらどうだね?」 何かがガラガラと崩れ落ちる音がする。身体がふわっと軽くなった。 バンッ ボクの両手は教科長の立派な机の上でジンジン熱を持ち始めた。 「…無理ですっ!」 目の前にある2つの目がゆっくり瞬きを繰り返している。 「もう限界なんですよ!教長は学生時代からボクらの事知ってるんでしょ!?だったらボクがどれだけ昔から灰に依存してたか分かってますよね!?ボク1人じゃ何も出来ないって知ってますよね!成長しなきゃとか自分が一番分かってるんですよ!でもっ、灰がいなきゃ、もう駄目なんですよ…」 やばい。泣き出しそう。
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