scene009

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side 堤鈴嘉 授業前の騒がしさも予鈴1分前には後を引きながら徐々に静寂を見せる。保健委員長である俺も3-Aのその雰囲気に流されていた。 今日も相変わらず無難に午前の授業をこなし、残りは今から始まる古典と英語2コマを乗り切れば後は保健室でお祭りだ! 疫病神でも取り付いたかと思うくらい底に沈んでいるあの如月先生を今日は元気付けることができるだろうか…。そうだシュークリームを持っていこう! 自分の席に付き、そうぼんやり考えながら今日の範囲と思われるページをパラパラと捲る。 ガラガラッ その音が聞こえると同時にチャイムが鳴り、3-Aに古典を教えてくださる成瀬先生が入ってきた。 脇には何やら紙の束を抱えている。その後ろには、そう言えば姿がなかったクラス委員長が倍もあるような大量の紙を落とすものかと運び込んできた。 「ん…?」 入ってきた人物は以上だった。クラス委員長が扉をなんとか閉めると教室のどこからか声が飛ぶ。 「あれ?小野塚先生はお休みですかー!?」 その声には残念がっている色が溢れんばかりに込められていた。 「あぁ、それが」 バサッと大袈裟な音を立てたように思われたが、教卓に積み上げられた紙の塊を見てその音に納得し、そして嫌な予感がした。 あ、なんかこれ…2年の時も同じような事あったような…気が。
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