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「今日から1週間3-Aは俺だけで授業する。で、最終日に小テストを行から、そこでお前ら」
鋭い視線で背筋がこれ以上真っ直ぐは無理なくらい伸びた。カラカラの喉が鳴る。
ニヤリと笑った成瀬先生に1年前の緊張感が蘇る。
「3-Sに勝て」
それはそれはとっても簡単そうに俺らに告げる。
「…あの、何でですか?」
クラス中が思ってる事を代表して手を挙げ質問してくれたのは我らがクラス委員長。手が震えている。
「2人で授業やるのと1人で授業やるのとどっちが平均点いいのか調べるんだよ…まぁ実験ってとこだな」
それって勝てと強要したら意味無いんじゃ…クラスの頭上には大きな正解が静かに浮かんでいるが、それを口に出せる馬鹿は居なかった。たぶん、これは勝たなきゃいけないヤツなんだ。Sクラスに俺らAクラスが。
「あの、もし俺らが負けたら…」
「ん?…お前らは負けねぇよ?そうだよな?」
怖いくらい音が無くなる教室に成瀬先生の低く落ち着いた声で「返事は?」と言われればSクラス並に団結した兵士のような返事が自然と合わさった。
「大丈夫。今Sクラスは平和ボケの真っ最中、1番足引っ張るヤツも頭ん中お花畑だ。まぁ、Sクラスではいつも通りの授業をするから手を抜くわけじゃねぇ…言ってる意味分かるよな?お前らが今死ぬ気でやればSクラスに勝てんだよ。いつもトップで調子乗ってるSクラスを引きずり下ろせ。いいな?」
はいっ!と返事をしたは良いが、あのSクラスに俺らが勝つ?確かに平和ボケしてるだろうがしてたのはこっちも一緒だ。それにSの担任様はこの成瀬先生じゃないか、学園1の団結力に加え過去どんな小さなテストでもトップから落ちたことは無いSクラスに?…。え、どうやって勝てと??
「あ、それと勝負のことはうちのクラスにも伝えてあっから。さてまず手始めに抜き打ちテストから始めようか?」
今日1であろう成瀬先生の影のある笑顔にAクラスでは聞こえない悲鳴が響き渡った。
side 堤鈴嘉 end
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