scene009

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「最近堤くん姿見せないですね。生きてるんです?」 「え? ごめん聞いてなかった」 ボクはパソコンの画面から顔を上げてソファーで紅茶を飲んでいた夏くんにもう一度言ってほしいと頼む。 「あ、すみません。独り言なんで大丈夫ですぞ。それよりお仕事続けてください!久しぶりにやる気になってるんですから!」 生徒から送られる言葉とは思えない。 「今はやる気ださないと駄目なんですぅ」 あれからボク自身が極力話題に上がらないように自室か保健室に引きこもり、無理やり事務系の仕事を進めていた。 「で、堤くんがなんだって?」 「しっかり聞いてるじゃないですか!!最近顔を出さないなって言ったんですぞ!」 確かにと手をピタッと止めて何気なく夏くんの方を見ると彼がニヤッと笑った。 「何その顔。夏くんも生徒会のお仕事してくださいよ?全く進んでないじゃん」 わざと意地悪そうに言ってみると一気に顔を青ざめさせた夏くんが意地になって言い返すようにソファーから身を乗り出してきた。
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