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とりあえず話しを早く聞きたくて夏くんの背中を摩っているとゴホゴホと咳き込んでいる夏くんが懸命に首を振っている。何だか更に苦しそうな表情に見える。
「…犬みたいだね」
バシッと思い切り叩かれた。
暫くして落ち着いてきた夏くんは涙を溜めた目でジロリと見てくるので、こちらは期待に満ちた目で返す。
「っ……違いますぞ!!違います!!何ですかその!?っはぁ!?どこから!?はぁ!?なにゴッゴフッ」
思いの外取り乱した夏くんはまた咳き込んでいる。凄く砕けた口調になり始め事に気付いていない様子だ。
「いやいや違うからっ!本当に違う、え?はぁ!?なんでです??」
可愛い子を見るように面白い程慌てふためく夏くんを見守っていた気に入らなかったようで容赦無く両頬を潰された。
「ほんとなの?」
「……いや、付き合ってないですぞ……そんな目で見られても本当ですからっ!」
まだ喉の奥にくっ付くクッキーの破片を追い出すように咳を繰り返す夏くんの目をじっと見据えるが残念な事に嘘をついている目には見えない。
「えー、…じゃあ何であんなに焦ったの?」
「そりゃあ!びっくりもしますよ!先生の口から部長の事が出てくるとは思わないじゃないですか……!誰からの差し金ですか?」
「……保健委員のみんなが言ってたよ?夏くんを副部長にさせたの前部長だって。普通生徒会に入ったら部活は残ったままでも役にはならないから。……何かあったんじゃないかって普通部長が直々に指名とか無いじゃん?何かあるのかなぁーって、お気に入りとか?」
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