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最後の期待を込めてじぃっと夏くんにお願い光線を送って見たが効果無く、否定を裏返す事は無かった。
「何かあったりしない?」
「しないしないっ!てか副部長にされたのは!ただの嫌がらせですからっ!」
「ふーん……でも何かありそう」
「俺が恋愛経験ほぼ0って事をお忘れですか!?」
夏くんが立ち上がった拍子にソファーが軽くバウンドする。ふわふわするそれに身を預けながらビシッと指差し格好を付ける夏くんに目を向ける。
「ほんとに何も無かったの?何か怪しい…?」
「本当ですよ!本当です!この話おしまいです!もう本当に元気になりましたね!余裕が出てきたというか……」
「余裕は、出てないけど……まぁ見通しがもてたからちょっと頑張ろうって気になってるかも……で?前の部長となんかあったの?夏くんの片想いって考えにくいからー……もしかして告白されちゃってたとか!?」
「ごふぉっ!!!」
喉に引っ付いているクッキーを流し込もうと断りもなくボクの紅茶を飲んでる夏くんが再放送のように思い切り吐き出した。
「なるほど…」
「いやいやいやいや、違いますからね??ちょっと本当に勘違いしないでくださいね?俺が部ちょ、前部長に始末されちゃいますぞ!!?」
「なるほど今も仲良しなのか」
聞いてるぅぅうう!?とボクの肩をガクガク揺さぶってくる夏くんは紅茶を垂れ流しながら必死だ。きたない。
「嘘か本当なのかはどうでもいいや。そんなこと気にしないしボクたちってそういう者でしょ?素敵なご馳走をありがとうございます。男前先輩×腐男子後輩かぁ」
次に聞こえた夏くんの絶叫にはいつもの威勢がなかった。
完成傍観者なんて立ち位置は許さないよ?
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