第1レーン*憧れのフォーム

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この人は入学して否や、何人かに向けてはお別れの挨拶を投げているらしい。 不信感を抱きながらオリエンテーリングが終わると、体育館へ即移動。 入学式が行われ、長い校長の話と学生主事や寮務主事の話の中、睡魔との闘いを制して、漸くクラス別に教室が分かれた。 「初日から遅刻と思えば、案外元気そうじゃん。  指導生からの説教、どうやった?」 入学式後の1組の教室では、昨日の入寮で仲良くなった小松祭歌(さいか)が陽凪のもとに駆け寄ってきた。 「首根っこ掴まれて強制連行ですよー。」 「それは陽凪が悪い。  あれだけ私が呼んだがに降りてこんけん。」 寮部屋が同じとあって、1日経つと親密に話せる仲になっていた。 「あの時は羽田行きの離陸時間だったんだよ。  集合時間考えて欲しいよ、本当に。」 「決まりに背いちょって、どの口が言うのやら。」
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