第1レーン*憧れのフォーム

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祭歌に促されながらも、寮への途次にグラウンドを覗いたものの……、既に人気(ひとけ)は無くなっていた。 荷物も何も残っておらず、ただ散乱した部活用具が目に入るだけ。 午後からも練習するかなと待ってみたものの、一向に現れず。 「あら~?  反省文書かずに何しよるがかな~、さぁ~くらたにさ~ん。」 「ゲッ!!」 終いには今朝の指導生に見つかり、遅刻の件でコンコンと二度目の説教。 気が付けば、それだけで日中が過ぎていた。 夜になると、寮生にとって「魔の時間」と呼べる勉強時間(コアタイム)が始まる。 1年はそれぞれ各人の勉強机で、明日のテストに向けて集中していた。 入学早々補講なんて御免だ。 そう必死にカリカリと立てるシャーペンの音だけが、部屋中に鳴り響く。 それを他所に、陽凪は呆然と、点々と光る滑走路に目を向けていた。 (飛行機は皆の思い出や出張とか、その為の中堅役として、多くの命を乗せて飛ぶ。  あの人は……何の為に走ってるのかな。)
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