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朝見かけたあの学生が気になって、勉強に身が入らなかった。
寮に戻っても、ご飯を食べても、お風呂に入っても、何処か頭の片隅で、あの残像が繰り返し流れていた。
今迄、正月の箱根駅伝やマラソンをテレビで観ても、こんなに考えた事無かったのに。
「陽凪?」
彼女の虚ろな表情に、気にかかった祭歌が声をかける。
かなり間があって、ふっと正気に戻った。
「大丈夫?」
「うん、少しぼーっとしてた。」
へへっと無邪気な笑顔を返す。
「余裕だねー、さては勉強せんでも頭がええタイプ?」
「違うよ、飛行機見てただけだって。」
窓から目を離さない陽凪に、「どんだけ好きなが?」と呆れる祭歌。
「ならええけんど。
それはそうと、明日の部活紹介、楽しみやね。」
祭歌の楽しげな言葉に「そうだね」と
小さく返す。
陽凪も目の前にある冊子を開き、消灯まで睡魔との闘いに没頭した。
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