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ブカブカのローファーに履き替えて外へ出る。
静まり返った外を眺めながら、本令の鳴り響く校舎に足を進めていた。
「…ハァ、ハァ。
まぁ、今さら急いだところで、遅刻確定なんだけどさ。」
無駄な悪足掻きと分かっていながら、寮と校舎を結ぶ横断歩道を渡る。
春の香りが鼻を掠める。
散りゆく花弁を追いかけていると、真っ新な蒼天が広がっていた。
「広っ!え、1周何メートルなんだろう?」
その下に広がるのは、太陽に照らされた大きな土のグラウンド。
キメ細やかに白く光り、まるで白砂の大地だ。
特に中心の円は幾つもレーンが並び、縦にも横にも広い。
「南に野球場?あ、ソフトボールかな?
円の中にサッカーゴールって、流石、中学より大きいなぁ。」
見渡していると、砂塵舞う静寂の地に一際目立つ赤色の衣が見えた。
「…あれ、何だろう?」
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