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白砂の大地に、赤は物凄く映えた。
赤いのはジャージなのだろうか。
「……部活?
でも今日は入学式だから、新入生と寮の指導生以外は来てないはずだけど。」
すらりと高い背丈。
赤色のジャージを身に纏うと、一礼してスタート位置に立つ。
体勢を低く構え、一呼吸入れた。
左手の時計を構え、さらに姿勢を低く。
そして、勢い良くスタートを切り、円周を駆け抜けた。
遠心力とスタート直後の加速からなのか、カーブの外側で覗く陽凪へ砂煙が襲う。
シューズが土を蹴る音。
風に揺れる髪。
空気を切り裂くように突き進む赤色のジャージ。
前髪を分け、クロスに留めた金色のヘアピンが光り輝く。
鼻いっぱいに吸い込んだ砂煙に噎せながらも、陽凪はその走者を目で追っていた。
長い腕と足で力強く走る姿は、まるで風の中を駆ける豹のよう。
後半になるとスパートをかけ、一気に1周を走り終えた。
髪型的に女子だろうか?
右横に束ねて、ピンクのシュシュで留られている。
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