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名前を呼ばれて、ビクついた背中が自然に振り返る。
「今日は入学式ながに遅刻はいかんやろー?
の前に、この私を無視るとはどういうつもりかなぁー?ふふふ。」
ピカピカの黒スーツにパンプス。
日に晒されて仄かな茶髪を見せる、ふんわりパーマ。
寮生を取り仕切る指導生の1人が、仁王立ちで陽凪を待ち構えていた。
「あ、えっと…」
「えっと、じゃないよね?
昨日の集会で寮長が言いよったよね、明日は入学式やけん8時15分に玄関前集合って。」
3~5年の寮生から選抜された、寮内幹部の指導生。
その中の1人である4年の女子学生が、遅刻した陽凪を連れてくよう寮長から任されたらしい。
面倒ごとを押し付けられた上に、何度呼んでもスルーされ、堪忍袋の緒が切れたのだろう。
その証拠として、笑顔の上で眉間に皺が寄っていた。
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