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逃げろと本能が告げている。
でも、恐怖からかそれとも別の何かからなのか分からないけれど、足が動かない。
男がこちらにゆっくりと近づいてきて薄気味の悪い笑みを浮かべる。
怪しく笑う男の口の中に異常に鋭い二本の犬歯がちらっと覗いた。
もしかして、ヴァンパイア?!
祖父の話が蘇る。
“今、吸血鬼たちは朱莉、お前を狙って動いている。”
“朱莉の特別な血を狙って。”
男はなおも近づいてくる。
ダメ。足が動かない。
男が伸ばした手が私に触れる
そう思ったとき
「本条!」
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