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「では、これより卒業試験を始める。」
イルカが言い放った。
イルカは名簿を確認すると上から順に名を呼んでいった。生徒たちに緊張が走る。
「いざよいユイ!うずまきユギト!うちはトア!前へ。」
ユイとトアは審査員の前に出てきた。
「今回の試験は分身の術。準備が出来た者から始めろ──って、おい!ユギト!起きろ!」
「んあ?イルカ先生?」
「試験だぞ!前へ出てこい!」
机に顔を伏せて寝ていた劣等生はイルカの声に目を覚ました。
(まったく…お前は親に似ているな…)
「始め。」
ユイが素早く印を結ぶ。
「分身の術!」
ユイの横に姿形がそっくりの人影がうつる。
「いざよいユイ、合格!」
イルカは名簿にさっと合の文字を赤いインクで書いた。
「分身。」
トアも分身を作るのに成功する。
「うちはトアも合格!」
「あとは俺だけだな。
……イルカ先生ぇ。」
「ん…なんだ?」
ユギトはイルカに手招きをし、こそこそと何かを話している。
「だめだ。影分身は分身の術とは少し違う。それは試験範囲ではない。」
ユギトはふてくされた顔で印を結ぶ。
「分身の術!」
分身の術は成功した。ユギトがちゃんと二人になっていた。
「うずまきユギト、合格!」
「え?え?やったあっ!!」
分身はユギトの苦手だったが、かろうじて、成功したのであった。
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