0人が本棚に入れています
本棚に追加
(随分口の悪い小学生だな…)
怪訝な顔をしながら下を見てみる。
「っ…。」
ボーイソプラノの声の主はフランス人形のような人間離れをした美しい少女だった。
陶器のようなツルリとした肌、長い睫毛に縁どられた二重のつぶらな瞳、鼻筋の通った高い鼻、血色の良いぷっくりとした形の良い小さな唇。栄養の行き届いたサラサラの健康的な髪は黒だった。
(ハ、ハーフかな…)
まるで思考を見透かしているかのように、吸い込まれそうなどこまでも黒い瞳がこちらを見た。
目が合う
視線が絡み合う
視線を外せない
脈が上がっていく
首の血管がドクドクと脈打つ
全身が燃えるように熱い
瞳孔が開く
身体中の血が心臓に集まっていく
形のいい唇が動く
目が、離せない
「ねえ、ちょっと大丈夫?」
最初のコメントを投稿しよう!