荒波打つ浜辺で

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 ひどい風と共に、"いつも通りの雨"が普段は鳴らない雷と共に降り注ぐ。    陸地は以前よりも狭くなり、名物だった砂浜は海に飲まれようとしている。 「風力安定基準、水位上昇率……ん?」  そんな荒れた砂浜で、大きな電子ゴーグルを掛け、全身を黒いタイツで包んだ男がいた。 「生体反応……」  男は瞬時に腰に差してあった刃の長いブレードを構え、ゆっくりと反応のあった地点へと向かう。  その足取りはどこか違和感があり、独特な足跡を夜の砂浜に残していた。 「対象、女性……年齢、恐らく16又は17歳……」  淡々と機械の様に語る男の声は、口が閉じたまま発せられていた。 「人種、不明……目標ではないな」  少し落胆しつつ、ゴーグルを外して目の前の女の子の顔を叩く。 「おい、起きろ。死んでるはずないんだ、起きろ」  ペチペチと叩くが反応はない。 「……ふん!」  時間をかけることは避けたい。なので腹を強めに叩いてやった。  すると、目の前の女の子は咳き込み、海水を吐き出した。
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