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「こんにちは」
女は冷ややかな目線を俺にむけて
そう言った
目力がある美人な顔立ちをしていた
「お…おう」
俺はその雰囲気に圧倒され
そう答えるのがやっとだった
ここから立ち去りたいのに
足元がすくんで動けない
俺の一メートル先まで来た女は突然言った
「あなた 贅沢ね」
真正面から言ってくる人は
本当に自分の事を思っているから
そう思っていた俺だったが
初対面の奴に
言われるのは訳が違う
「な…なんなんだよ
お前
なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだ? 俺のことよく知りもしないで」
俺は怒りで満ち溢れていたが
その女の凛とした冷たい雰囲気に少し恐怖を感じて強くは言えなかった
「知っているわよ
知っているから贅沢だって言ってるの」
女の表情はますます冷ややかになった
「俺
お前と会った覚えねーんだけど…
俺の何を知ってるって言うんだ?
一人で自由に生きていたって
初対面のお前にそんなこと言われる筋合いねーよ」
心の中では少しビビり気味だったが
強気な態度で言った
女は少し寂しそうな表情をした
「…私はそんなつまらない事を言ってるんじゃないわ
あなた
死にたいって思ってるでしょ?」
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