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「カゲト!!」
ダークブルーの髪をスラッと肩までに整え、現在進行形でカゲトに向かって走ってくる彼女。
先程、カゲトが思い浮かべた一番隊副隊長、〝鬼の乙女〟こと鈴峰リンだ。
「……………………」
この道は幸いにもT路地になっている。カゲトは真っ直ぐに進み、その先にあるエレベーターに乗れば良い。
そして、リンは右側の通路から来ている。
つまり、今、全力で走れば何とかなる。
「……………よし…」
カゲトは躊躇無く、振り返ることもなく走り出した。この地獄から逃れるため、恐怖から逃げるため。
いや、これは逃げるのではない。
戦略的撤退だ。
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