涙の理由

5/37
2447人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
就活とか決まってない生徒は、学校よりそっちを優先している。 でも私達4人は、もうすでに内定をもらっているのだ。 だからこうして、4人揃う事も珍しくはない。 でも私は、その内定ですらどうしようか悩んでいる。 ……一応内定をもらったけど、普通の会社の事務という職業。 就職が決まるなら、本当はどこでも良かった。 ……やっぱり “教師になりたい” そう思う自分がどこかでいる。 「ねぇ優陽ちゃん……雨すごいけど傘持ってきた?」 「ううん持ってない。天気予報、晴れだって言ってたもの」 美菜ちゃんも耀君も瑞生君もすでにお昼を食べ終わっていて、空いたお皿がテーブルに置かれている。 その中で一人、食べるのには何か気が引けた。 「ほーら、優陽ちゃん傘持ってないって! ねぇ瑞生君。送ってあげてよ?」 うどんに集中していると、美菜ちゃんが瑞生君に突如そんな事を言い出した。 思わず喉に詰まりそうになってしまううどん。 ……美菜ちゃんったら、何て事を言うの? 「俺は別にいいけどさぁ……優陽ちゃんの彼氏に悪いんじゃないの?」 「えっ?」 瑞生君のその言葉に反応したように、私は顔を上げた。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!