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だっていくら仲が良くても、私は桜さんの事をみんなに話していない。
話すきっかけもなかったし、自分の事をペラペラと喋るのもあまり得意ではない。
「あれ優陽ちゃん。俺らが知らないとでも思ってたの?」
「っ?」
……思ってた。
一体いつバレたんだろう……?
私はうどんを食べる手が止まる。
丼の中に箸を突き刺して、キョンシーの食事みたいになっている。
「優陽のその手だよ! ほら右手の薬指っ」
耀君がそう言って、私の右手をみんなに見えるように掲げた。
その瞬間、私は恥ずかしくて手を引っ込めた。
でも当然みんなにはちゃんと見られたみたいで、苦笑している。
「優陽ちゃん。水臭いじゃーん! っていうか耀クン、女の子の手に簡単に触ったら駄目でしょー?」
「女の子って優陽だろ?」
「駄目なものはダメですぅー!」
「ちえっ! 分かったよ! 美菜以外は触らないから機嫌直せよな?」
目の前で微笑ましい光景が繰り広げられる。
美菜ちゃんは、ちょっとの事ですぐに焼きもちを妬く。
そこでいつも耀君がフォローに入るのだ。
はいはい……ご馳走様です。
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